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エマ通信

2013.02.08

笑間通信2月号より その1

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『一客のカップに落とし込む
珈琲という名の美学』

皆さんは、「コーヒーベルト」をご存知でしょうか?
赤道を中心とする北緯25度から南緯25度の間一帯のことを指します。
現在、世界の60数カ国で生産されているコーヒー豆ですが、
その産地を地図上にプロットした時に、
その生産国のほとんどがこの一帯に位置しているため、
「コーヒーベルト」と呼ばれています。
この一帯を見渡すと、
生産国の多くが中南米やアフリカなどの
発展途上国であることがわかります。
気候区分で云うと、熱帯・亜熱帯の国々となりますが、
コーヒーの木の栽培の為には、
暑過ぎても乾き過ぎてもダメで、
適度な寒暖差と十分な雨を必要とする、
意外にデリケートな植物なのです。
ですので、良質な珈琲豆になる程、
標高が高く傾斜のきつい、
機械も入らないような場所で、
気の遠くなるような地道な労働の果てに、
ようやく私たちの手元へと届けられます。
どんな仕事でも、
自分の尊い時間=命(寿命)を削っています。
そう思えば、何気に供される一杯の珈琲と言えども、
たかが珈琲、されど珈琲、
自ずと「頂きます」と、
手を合わせたくなります。
そんな珈琲豆が海を渡って遥遥届けられた時、
先ずエマで行う作業が、ハンドピックです。
珈琲豆は農産物ですので、
必ず欠点豆も混入してきます。
虫喰い、カビ、割れ豆等、
瑕疵と判断される豆を手作業でより分ける作業、
それがハンドピックです。
珈琲屋のお仕事としては、
一番地味で果てしない作業となりますが、
一粒の欠点豆が一杯の珈琲を台無しにしてしまう可能性を思えば、
怠れない作業工程です。

目の前に在って、湯煙たゆたう一杯の珈琲。
量にしてわずか130cc程のこの琥珀の液体に、
夢を描き美を見たその時から、
惜しまぬ時間と労力を割き、
人様の至福のひと時に資する為、
今日も一日を捧げんと、
他人様からするとtoo mutchな物言いとなりますが、
珈琲に日々携わる者の気構えとしては、
素直な真情としてそうありたいと願っております。
一客のカップに落とし込む珈琲と言う名の美学の下に。