2012年 3月 8日

3月8日(木)

さて、「人間は、味わう存在である」とすれば、ではなぜ味わう必要があるのでしょうか。

味わうと言った場合、

好ましいものもあれば、

そうでないものもあったりと、

喜怒哀楽を悲喜こもごもに体験するのが人生であり、

そのいろんな悲喜こもごもを味わうという点において、

人はみな平等であるということも言えます。

老若男女、貧富、地位に関係なく、人は皆、

平等に人生の辛酸辛苦を味わいながら、日々を過ごしているのではないでしょうか。

なぜこのように世界は億万の情的味わいで満ちているのか。

思うにそれは、他者と共感共鳴するためではないでしょうか。

私という存在は、物理的には私という体の脳内に閉じ込められて

一歩も外へは踏み出せない、

絶望的な孤独の中に留め置かれた存在ではあるけれど、

他者と共通の味わいを分かつことで、

共感共鳴し孤独をいやし合うことが可能になる。

共感共鳴する目的、それは「ひとつになること」。

そう考えると、昨年の大震災は、痛恨の出来事ではあったけれど、

皆が、共通に味わい、共鳴し、そしてひとつに結び合う絆の尊さを学び得たとすれば、

それも人類全体の成長を手助けるものとして、

大きな成果をもたらす出来事であった、とも言えるのではないでしょうか。

 

この「味わう」という感性において人は、

他の生物よりも群を抜いた存在として、この地球上に君臨しています。

「情的味わい」こそが、文化文明発展の原動力とも言えるのではないでしょうか。

ですから、人は先ず美意識を育てるべし、と思うのです。

子供たちに美の味わいをと。

 

最後に、素敵な詩の味わいをお届けいたします。

童謡「ぞうさん」の作詞で知られる、まどみちおさんの作品です。

タイトルは「臨終」。

 

  神さま

  私という耳かきに

  海を

  一どだけ掬わせてくださいまして

  ありがとうございました

  海、

  きれいでした

  この一滴の

  夕焼けを

  だいじにだいじに

  お届けにまいります