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エマ通信

2016.10.15

父の四十九日

死は、葬儀によって処理されて行く。
遺体を処理し、
遺品を処理し、
社会との関わり事を処理し、
霊魂を処理し、
そして同時に、
残された者の心をも処理して行く。

それは否応無しに
故人との決別を
残された者に
推し当てる。

故人との情愛の結びつきが
深ければ深いほど、
残された者の心の問題は尾を引く。

「喪の仕事」。

その仕事と向き合いながら、
日々を故人との対話で暮らす
そんな期間が人生には訪れる。

今日は、亡父の四十九日。

たぶん、此岸と彼岸の水の流れる深き谷間を
軽々飛び越へ父は往く。

渡るに渡れぬ川を前に、
一番辛いのは、きっと母。

そして息子は、考察する。
彼は、永遠不変唯一絶対の
男性性を宿す者として、
彼女は、永遠不変唯一絶対の
女性性を宿す者として、
両者の「結び」こそが
此岸と彼岸を埋める
霊界と肉界を統べる唯一無二の価値
ではないかと。

いずれは皆、ウシュマイ(オジイ)と
ンミー(オバア)となって、
子孫に仕合わせを振る舞う為に、
彼岸と此岸を往き来する。
あの世に行ってまでも夫婦仲良くが、
八重山の土着信仰アンガマの真髄であり、
それこそが永遠不変の真理ではなかろうか。

夫婦の愛無くしては、
命は始まらず、
血筋は続くことはない。

良い仏壇に有り難いお念仏、
お供え、高級なお香、それも良いだろう。
しかし魂は、
相対者の絶対的愛により
最も清らかに安らかに成仏する。

ふと空を見やると、
今日は冴えた空に満月。
秋の月。
天に昇るには絶好の日和。
間違いなく、
父は天に祝福されているのだ。

今夜は、秋の名月を眺めながら、
月に心寄り添わせて、
亡父を送り出します。
勿論、私の妻と心重ねて。

父が過ごした大阪の月。
父が生まれた八重山の月。
南無。合掌。

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