君が旅立ち 南無阿弥陀の額を携え、 いきなり君は明日立つと云う。 通りすがりの松の木に旅立つ君の姿が重なる。 松は、孤に高く立ち、時を待つ。 海辺の荒らくれも断崖の風雪も物ともせず 根は剥(へず)られ幹はくねり枝葉は引きちぎられようとも 度重なる苦節を堪え忍び辿り着いたは、君が勇者の立ち姿。 いずれ時は満ち、君が時は訪れる。きっと来る。 松に衣掛け祈り称(とな)う者を抱き給へや君が松。 有難き哉、南無阿弥陀仏。