陶器婚
そもそも二人とも土物は好きですが、結婚して20年目を陶器婚と称して記念することはママから教えてもらいました。
男女が結婚して夫婦となり、あぐみつつも懸命に歳月を紡ぎ年輪を重ねる。
結婚生活とは陶工が土を捏ね轆轤を回し、仕損じては再び意に添う器を造るに似る。
確かに、夫婦としての20年の歩みを持って陶工の器造りになぞるは、然り。
本当は、私たち夫婦の陶器婚は昨年のこと。しかしながら、私たちの意に添う陶器がいまだ見つからずにいたところ、一年越しで素晴らしい器と出会えました。
作家さんのお名前は、高木純氏。備前焼の若き陶工さん。
エマの割賦(カップ)は最終全て備前に揃えても良いと、本気で思っているくらい、マスターは備前が好きです。
釉薬を一切使わず、炎の当たりによってもたらされる文様や濃淡の無二性、その質感の妙に惹き込まれます。
そして何より素焼き特有の多孔質が水の味わいを美味しくします。
高木純さんの作品には品格を感じます。それは美に対する真摯な思考の素直な表れなのかなと感じています。きっとこれから備前の名工となられる方に違いない。
今日も一仕事終え、二人向き合う暮らしの刹那。それは、お茶の時間。
うちはお酒を嗜む習慣が皆無なので、珈琲を飲んでます。勿論笑間珈琲(笑)。
今日の交々(こもごも)を二人語らうゆるやかな時間にこちらの備前。
文様の無限宇宙に糾(あざな)える悲喜を観ながら、次なる歳月へと向かう。
備前の多孔は多幸に思える。
☆高木さんの作品は以下から購入出来ます。