天空の音
自分より若い人の訃報を聞くのは辛い。
その人が好印象の人であったから、なおのことだ。
突然の訃報に接し、その人物の在りし日の闊達な笑顔や笑い声が一瞬脳裏に立ち昇るが故の静寂の深さが、いたたまれなかったりする。
その静寂の中でひと時、天空を仰いでみた。
煌々と輝く今宵の月と星に何故かほっとした。
静寂に見上げる小さな光芒にささやかな言葉が聞こえるようだった。
天空には音楽が流れている。
見えずとも無数の星々はそれぞれの運動と振動を音として発しながら、宇宙は完璧なハーモニーを奏でているに違いない。
そんな音に耳を澄ませながら言葉を追う。
いずれ懐かしこの肉体も
土に還るときがくるのだから
出会えた奇跡胸に刻むのだ
力強く抱きしめ合おう
いずれめでたきこの魂も
空へ昇るときがくるのだから
めぐる命を寿(ことほ)ぎ合うのだ
生きてゆく日々をともに祝おう
力強く手をとりあおう