ノスタルジー
南の島の波打ちの音や三線の音が子守唄でした。たぶん。
それが私の耳福眼福。
潮の香りや草いきれもまた、夏に生まれた私の郷愁を誘います。
物心ついたのは、高度経済成長期真っ只中の大阪市中。
川底からはメタンガス、空は光化学スモッグ、海は垂れ流しの廃液にまみれて絵の具色に染まっていました。
子供の私は日々それを目の当たりにして育ちました。
船上で暮らしていた友達も
朽ち果てた船を舫でいた岸辺も
ハゼ釣りをした湾処(わんど)も
港湾の広大な空き地も
今は昔。
河の流れに沿う時はいつもそんなことを思い出す。
野辺の秋風に身を晒し
束の間の郷愁にひたる
だけど、辿り着いた今に悲観はない。
時の流れはいつも愛おしい。
まだまだこれからが本当の始まり。