春めき ふと、春めいていることに気づいて窓を見たその刹那、 小さな窓越しに無数の命がよぎる。 飛ぶ鳥、舞う蝶、跳ねる虫。 目を配ったほんの一瞬に、命はたいそう煌びやかに蠢(うご)めいていた。 よくもまあ、飽きもしないで、命は巡る。 この世界にはわたくしだけが生きているのではないことを 些細な時間の些細な場所で 巡りつむぎ合う命に 身勝手な人間は気がつくべきだ。 幾多の試練がいつか気づきの春を人に招くよう。 ? ?