忘備録として
マスターが昔から敬愛する写真家の藤原新也氏。計略を看破し物事の本質を鋭く見抜く氏の慧眼にはいつも舌を巻きます。
長文ですが興味のある方に向け、シェア致します。ご参考まで。
↓(これより引用)↓
「プロジェクションマッピングの意味するもの」(文章 写真家 藤原新也)
プロジェクションマッピングとはつまりプロジェクション(投影)マッピング(貼り付ける)と言う極めて単純な造語だ。
プロジェクションマッピングと聞くと何か大変な事業(インスタレーション)やってると言うような感覚が一般人にはあるのだが、これは単純に言うと「幻燈」なのである。
要するに、私たちの年代のものが雑誌などの付録についていた簡易な幻燈機で遊んだことがあるが、その延長線上にスライド上映などで使うプロジェクターなるものがあるわけだ。
プロの写真家が使うプロジェクターは大体4〜5 0万円程度で、明るさはルーメン(Lm)で表し、一般家庭で使うものは100から1000ルーメンくらいだがプロが使うものは3000ルーメン以上、最大クラスで6000ルーメンくらい(船長も所有)。
それでは屋外の大きな建物などに投影するプロジェクションマッピングのプロジェクターのルーメン数はどれくらいかと言うと、2万から4万ルーメン、プロジェクターの価格は、一気に跳ね上がって1千万円から2千万円だが、構造的には幻燈機と変わらないわけだからいくらシェア率が低いといっても高級車と値段が変わらないこの価格は高すぎると思っている。
要するにプロジェクションマッピングと言うのは、これは単純に平面のスクリーンに映すものを立体物に映したと言うことに過ぎず、別に大それたことをやっているわけではない。
このプロジェクションマッピングのはじまりは、遠く1960年代に遡り、ディズニーランドでミッキーマウスの顔などに何らかの映像を投影したのがはじまりだと言われている。
同じ頃、ビートルズのミュージックビデオでもジョージ・ハリスンの顔に映像を投影するシーンがあったりしたが、70年代にはライトショーやアートの分野でプロジェクションが使われはじめた。
だがその頃にはまだ「プロジェクションマッピング」と言う造語はなく、この造語が生まれたのはビジネスへ応用されはじめる2010年代以降のことである。
ビジネスとしての費用は 人体や小物などの投影で40万から100万、屋内やレストラン、結婚式場の会場などで150万から300万、駅やビルなどの大規模なもので300万から1千万円程度である。
このことになぜ私が詳しいかと言うと2011年に旧練成中学校を活用したアーツ千代田3331(2023年閉鎖)で大規模な「書行無常展」(11月7日〜27日)を開催したおり、学校の正面全体に プロジェクションマッピングで書の動画が出来ないものかと算段したことがあるからだ。
このおりは2万ルーメン、三台のプロジェクターを使い、一日の上映1時間、20日間上映で値切って値切って300万という試算が出たが、 予算の都合上そこまで贅沢なことはできないと言うことで断念した経緯がある。
ここまでの話を聞き、勘のよいクルーならすでに沸々とした怒りが燃え上がっているはずである。
そう例の都庁舎のプロジェクションマッピング費用48億円!!!!!!!。
私はその報道を聞いたとき、まぁ多く見積もって4千8百万円の間違いではないかと思い、調べたところこれが48億円に間違いないことを知り、まずなぜこのような詐欺行為が白昼堂々とまかり通るのかむしろそのことに頭が行った。
ひとつにはマスコミの想像力と調査報道の欠如。
もうひとつは一般市民の無知(これは特殊世界なので仕方がない)。
それから同業他社もひっくり返るほど驚いているはずだが、声を上げないのは多分お上を恐れての忖度と、都庁のイベントによって上映価格が底上げされ高値水準が生じることは今後の仕事のやり易さと儲けに繋がるという思惑があるからだろう。
多分しめしめと思っている業者もいるのではないか。
このいかにも小池が好みそうな横文字の『TOKYO Night & Light』というネーミングのプロジェクションマッピング。
期限を区切らない上映らしいが、映写時間は19時半から9時半まで10分間上映を5回。
というわけで、百聞は一見にしかず、昨日木曜日の夜、7時半の開演を目指して、都庁舎に馳せ参じた。
所用もあり現場に着いたのが開演15分前の7時15分。
これでは観覧する都庁前広場は、混雑で良い場所が取れないのではないかと案じて現場に着いたわけだが、あれ、誰もいない!!
いや、誰もいないわけではなく、広大な半円系の広場によく見ると人影ちらほらで、一瞬誰もいないと見誤ったわけだ。
7時半の上映時間ギリギリで数えてみると、全客数で212名と1分程度で数えることが出来た。
客層は家族れやカップル、そしてインバウンド観光客が3分の1。
都庁前広場に賑わいを取り戻すと言う触れ込みには程遠くただの閑古鳥なのである。
大体こういうイベントと言うものは、先般私が行った世田谷美術館における展覧会のように、口コミで評判が評判を及び人が増えていくものだが、既に半年間を上映し、この観客数と言うのは、評判が評判を呼ばず、右肩下がりということであり、この先、数人の観客しかいないという恐ろしい光景も出現しかねない。
というわけで、あまりにも寂しい。都庁前広場にポツンと孤独感を漂わせながら、都庁舎を見上げる。
定刻の7時半になるや、女性の業務的アナウンス録音と陳腐な音楽(音響がまたちゃち)ともに映写が開始されたのだが映像を扱うものの目から見たら「ダッセー!」のひとこと。
10分間を5つのパートに区切り、外国のラボを含め競わせる形になっているが、CATWALK表紙にアップした最終の映写がそこそこと言う感じで、カウントダウンの鳴り物入りではじまった。トップの映写に至っては終盤のあたりで花火模様が映し出されるなど素人そのものなのである。
それ以上にこういった投影画像と言うものは写真や動画で撮ると派手目に映るものであり、それなりの雰囲気を醸すのだが、リアルな現場で、これを見ると、都庁の物量感と窓の灯りが邪魔をし、その表面に薄ーい画像が存在感もなく、ちらほらすると言う感動と程遠い儚い画像なのである。
これでは現場で見たものが、口コミで人に行ってみるよう勧める事は当然ないだろう。
と言うより10分間と言うのはあっという間の出来事で、皆あれ、これで終わり?と私の後ろの親子連れなど会話もなく、そそくさと広場を後にする後ろ姿が虚しい。
ところで、私が怒りを覚えるのは48億円もかけていながら、たった10分の映像ソフトを作っただけと言うこのひどいコストパフォーマンスである。
要するに、パソコンで動画のソフトを作るわけだから、私でもこの程度のソフトは1週間もあれば数人の助手とともにひとりで作れるだろう。
この48億円と言うお金は巨大なセットや様々な有名俳優の出演する2時間ものスペクタクル映画が制作できる予算であり、一介の映像作家や写真家がデスク作業で作り込むソフトとは程遠い金額なのである。
まぁそのようなわけで、これは薄っぺらい映像による『TOKYO Night & Light』は「詐欺行為」以外の何ものでもない、と言う判断を下したわけだ。
問題は、この莫大な金の流れがどのような形で誰の懐に入ったかと言うことであり、今後メディアはこの点をしっかり追求しなければならないだろう(いや今の眠り呆けているマスコミではダメかも知れぬ)。当然発案者であり、このパフォーマンスを遂行した小池都知事の財布を開けてみる必要もあるだろう。
私は本来選挙に際しては候補に関する評価は謹んできたが、今回その掟を破ったのは小池ブームが起きた時からそう言っているように小池というのはとんでもない悪行人であり、成り行きで今回の都知事選にあっても彼女の当選は固いだろうが独走当選は阻止しなければならないと思っているからだ。
庶民と言うものは、本来保守的で、変化を嫌うという意味において、今回の都知事選に関しては、現職の強みというものは動かし難く、さら組織票と相まって、小池有利の構図は動かないと思うが、小池の都政私物化は目に余る。
まず彼女がやった事は定例の知事、記者会見の場から自分の意にそぐわないメディアを追い出したことである。
コロナ前まではフリーの記者を含め、様々なメディアを会見の場に呼んだが、ここで自分の意にそぐわない質問などが飛び出したために、一計を案じコロナを利用して意にそぐわない記者たちをパソコン画面の向こうのリモートの場に追い出し、実際に会見の場に出てくるのは、小池の飼い犬ばかりと言う状況を作り出したわけだ。
次にやった事は、都庁内で自らにものを言う有能な職員の追い出しだ。
このマスコミ対策、そして内部にイエスマンのみをはびこらせることによって、まさに女帝の名の通り独断で様々な事業を進行することとなる。
その最も大きな事業は、築地の再開発やオリンピック選手村の後の再開発、神宮外苑の再開発。
築地の世間知らずの卸業者たちは小池の甘言に騙され、言いなりに土地を明け渡した結果、寝首を掻かれるように追い出され、ここに巨大な再開発の青写真が敷かれる。
神宮外苑の再開発もまた然り、選手村後再開発も然りだ。
その再開発の主導権を握るのがいずれも三井不動産。
つまり、ここに小池がその独裁によって三井不動産に土地を差し出す構図が見て取れるわけだ。
都知事選の4候補記者会見の中で、蓮舫が外苑前開発の業者から献金を受け取ってないかと言う問いに、小池は法に則って適切に処理をしていると言う定番の受け答えをしたわけだが、要するに、これは体の良い「ワイロ」であり政治献金は序の口で水面下ではかなりの金が小池の懐に流れている可能性は否定できないだろう。
三井不動産が小池を飼い馴らしたのか、小池が三井不動産を飼い馴らしたのか、それは預かり知らないところだが、この小池の悪行ぶりと言うものは、ここのところずっと問題になってきた自民党議員のパーティー献金などかわいいものである。
おそらく今回の都知事選において小池の有利は動かないだろうが、問題は2番手につけているはずの蓮舫の捨て身が伝わらないことだ。
今ネットで評判になっている3番手と言われる前広島県安芸高田市長の石丸伸二が1日に8回から10回なりふり構わない必死の街頭演説が目立つが、街頭に立たない批判を受けて立ち始めた小池が午前一回街頭に立つに比して、蓮舫も1日に1回、多くて2回と、本来なら声を枯らして捨て身で走り回らねばならない二番手の蓮舫が小池と同じパフォーマンスをやっているようではこれはもうだめだ。
というわけで今回は船長本音トークだが、これはあくまで個人的見解と断っておく。