冴え冴えた空 夏の雲は折り重なって押し詰まり 冴え冴えた空にしばしのさばる 蝉の鳴き声は極まって 時間さえも詰まらせる 静止する街に陽の光は容赦なく 屋根にも木の葉にも熱を注ぐ 夏の盛りの街の道に立つ かつての田舎の少年は おそらくはあの雲の方にこそ海があるのだと 心に帆を張るのであった 思えば遠くへ来たものだ モノトーンに暮れてゆく海辺の町に かつての色をもう一度蘇らせるのだ さぁこの夏帰郷せん