2022年エマ通信4月号(創刊164号)
2022年 笑間通信4月号 創刊164号
『心に届く、おもてなしを』。
島々の集まりのことを「島嶼(とうしょ)」と言います。
ポリネシア、ミクロネシア、インドネシア等々に見られる「○○ネシア」という表記。
これらは島々の集まる島嶼地域の呼称です。
ですので、薩摩半島から奄美・沖縄本島を経て、宮古・八重山・与那国そして台湾に至る大小様々な島を弧状に連ねる日本南端のこのエリアを、私は「オキネシア」と呼びたいと思います。
そもそも、私が笑間珈琲を始める時の原点がそこにあるのです。
【在りし日、私の生まれ島、石垣島へと向かう機上より眼下に点在する島々を眺めながら思い至った「島は『孤』でありながら『弧』である」という感慨。】
九州南端から台湾まで、およそ1200キロに渡り大小200程の島々が連なる南西の島嶼(とうしょ)群(マスターはそれを「オキネシア」と呼ぶ)。
その島々はそれぞれ海を隔てて「孤島」として点在します。
しかし、地質学的な時間軸で捉えた時、それら孤島もかつては大陸と弓なりに繋がる時代がありました。
空の高みから島々を俯瞰する時、そのことを実感として捉えることが出来ます。
「島は『孤』でありながらも『弧』である」、と。
島は「孤」であればこそ、「弧」としての繋がりを願い求め、
海の彼方にあるというニライカナイ(浄土)を思い浮かべながら、佳きカフー(果報)の訪れを待ち望みます。
だからこそ、島はおもてなしの心を忘れないし、礼儀を弁(わきま)えるのです。
島が来訪者にとっての再生の場となることを願いつつ、ありったけの情(なさけ)を注ぎ懐に抱く。
何千何万何億年という時の流れの中で育まれてきた島であればこそ、「孤」であることの苦を噛みしめ、内面を豊かにすることの尊さを学んできました。
それこそがこの島の天与の資質。
それが「島心(シマグクル)」です。
「島心」を源泉に、「心に届く、おもてなしを」。
それが笑間珈琲の願いです。
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笑間珈琲も開業して今年で17年目を迎えます。
これまで歩んできて思われるのは、結局は私のアイデンティティの問題。
「自己同一性」などど難しく訳語されますが、つまりは私らしさをどう反映させるのかに尽きます。
人は皆、来し方の集大成としての今日を生きているのですから。
若き日の焦燥も失敗も有頂天も勘違いも全てひっくるめてそれらを糧にしての「今」であるならば、
「私らしさ」とは日々育まれる性質のもの。
だから私はこの店で、人それぞれの「らしさ」を育むための種を蒔くことの出来る者になりたい。
そして願わくば、良く(善く)関わることの出来る者でいたい。
人は所詮、ヒト、モノと関わることを通してのデキゴトを味わうことなくしては幸福にはなれません。
ヒト、モノ、コトの連なりの中でしか私らしさを育む種は撒かれない。
私は私のルーツに感謝をします。先祖から受け継いだ「島心」という種に。
アイデンティティの確立とは、とどのつまりは自分にも他人にも感謝出来る心であり、
自分も人様をも大切に思える心を育むことにあると思います。
「私はあなたをいつも大切に思っております」。
そんな心が伝わるおもてなしができればと念じながら、
今日もこの一杯の珈琲を淹れさせていただきます。
笑間珈琲 店主
【卯月四月の笑間】
今月の展示
灯垙唯 寂榎(とうこうい せきか)さんの作品展。お名前も不思議ですが、どこか味わい深いゆらぎの世界をご堪能下さい。作品のテーマは、「天地開闢」。
★4月10日(日)ありがとうの日
エマのお客様感謝デーです^ ^
日頃のご愛顧に感謝して、小さな贈り物のお振舞いをさせていただきます。
★4月16日(土)歌夜会
とても久しぶりの小さな音楽ライブです。
定員は、10名様限定。完全予約制。
出演は、グリーンノーツです。
開演19時 終演20時30分 21時完全撤収
テーブルチャージ 1,500-。