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エマ通信

2012.10.26

とぅばらーま大会

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今夜は、旧暦の9月13日。
マスターの生まれ島・石垣島では、『とぅばらーま大会』の開催日です。
昔から八重山では、
「♪月ぬ美しゃ十日三日(ツクヌカイシャ トゥカミィカー)♪」
と歌われており、月が一番美しいとされる十三夜に
八重山古典民謡の至宝「とぅばらーま」を声高らかに歌い上げ、
自慢の喉を競い会う『とぅばらーま大会』が催されます。
この歌の大意は、昔石垣島に赴任してきたお役人が島の娘に恋をするお話で、
仲道路(ナカドーミチ~真栄里(マエザト)村のメインストリート)を何度も通っては想いを伝えるのだけれど、
当の娘は一向相手にしてくれず、
しまいにはフク木の実を投げつける始末と、
叶わぬ恋の悲哀を切々と唄うラブソングです。
実はこの歌はノンフィクションで、
件の娘はなんと
マスターの本家の屋(ヤァ=家)に実在した人物だそうです(血縁関係はありません)。
さらにうちのオバァが
これまで何度もこの屋の庭にフク木(沖縄では防風林となる木)を植えようとしたにも関わらず、
一度も根付いたことがないそうです。
オバァが言うには、未だにこのお役人の未練(想い)が
この屋から離れていないからだそうです。

『とぅばらーま大会』には作詞の部門もあって、
この伝統のメロディーに思い思いに言葉を乗せて、
詩情を競い会う、
そんな趣向もあります。
月の麗しい今宵、
愛しい誰かとゆったりと詩情を交わし会う、
たまにはそんな夕べも乙なもの。

 中秋の 
   たなびく雲間に 冴やかなる
  月の灯(ひ)が彫る
     寄り添う影かな

 
 かすむ夜も
   君と二人で眺むれば
     瞼の原に 浮かぶ名月

 神さびた
   おのこの声する
       十三夜