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エマ通信

2013.05.07

笑間通信5月号 より その1

旅をするなら

「月日は百代の過客にして、
行きかふ年もまた旅人なり」(奥の細道 冒頭より)。

松尾芭蕉ならずとも、人は時に
無性に旅愁にかられて、
気もそぞろに旅に出るもの。
片雲の風に誘われるまま、
漂泊の彼方に身をたゆたう。
旅にあって、そんな時間を
一度でも味わってしまえば、
旅そのものを自らの住処として
さすらう人生もありなんと、
古(いにしえ)のさすらい人たちの
姿に我を重ねて、
人生の真意を訪ね歩む人生も乙なものよと、
その穢れのない粋に憧れたりします。

さて、時は新緑の候。
この季節におすすめの旅ポイント、
それは、マスターの生まれ島(故郷)石垣島です。
マスターが思うに、沖縄を旅するなら
3~5月がベストシーズンです。
沖縄には独自の季節用語があって、
旧暦の2~3月を「初夏(うりずん)」、
旧暦の4~5月を「若夏(わかなつ)」と呼びます。
沖縄は、気候区分で言うと亜熱帯となりますが、
冬は北からの季節風が強く、
天気も時雨がちです。
それでも外気温が13度を下回ることはないのですが、
体感的にはものすごく寒く感じます。
マスターも島暮しの時分は、
外出時には、普通にダウンやコートを着込みましたし、
家の中にはコタツやストーブもありました。
これが2月の後半ともなると
風も収まり晴れ間も増えて、
気温も一気に上昇し、大地が潤い初めます。
この「潤いはじめる」で「うりずん」です。
南国特有の花々が一斉に咲き始めるのも
丁度このころです。
海の潮も一番引く時期なので、
大潮ともなると島人(しまんちゅう)総出で
浜アシビー(潮干狩り)です。
またこの時期は、
海の波打ち際や岩場には
アーサー(ヒトエグサと言う名の海藻)が着生し、
主に島の女たちがせっせと採り集めます。
この季節、太陽が顔を出せば、
あっという間に夏日となります。
実際泳いでいる人もよく見かけます。
沖縄では冬が終わるとすぐに夏の始まりです。
5月半ばともなると、内地(日本本土をこう呼びます)
より一足早い梅雨がやって来ます。
その後の本格的な夏も
もちろんオススメなのですが、
この時期一番心配なのは台風です。
ひとたび台風に襲われると、
もう身動きが取れません。
島での缶詰めを覚悟しないといけません。
旅人にしてみれば、それが一番恐ろしい。
せっかくのスケジュールが台無しです。
台風銀座の異名を取る沖縄ですが、
年回りによったら、
10月位まで心配しないといけないので厄介です。
従って、沖縄を旅するなら、
3月、4月、5月がオススメです。

〈続く〉

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