その日は突然に。
その出来事は昨年の7月15日に、何の前触れも無く突然訪れたのでした。
彼とのそもそもの出会いは、16歳にまで遡ります。
当時は互いにかなり内気で多感な高校男子でした。
全くと言っていい位、
人間の形すら整っていない
心と体のまだまだチグハグな
へなちょこ野郎同士の出会いだったと思います。
互いに何か自分に出来る自己表現を探すのに精一杯な青二才。
そこに僕たちにはたまたま
音楽という共通する手段があった。
そして彼と結成したバンドの名前は、
「サバイバルランド」。
以後、音楽での自己表現に明け暮れしながら、
青春のど真ん中を共に過ごしました。
ステージで歌う演目はいつもオリジナルの楽曲。
彼の紡ぐ詩とメロディには、
当時の自分達の胸に迫り来る
真っ直ぐな臨場感がいつもありました。
私が今を生きているという事への臨場感。
それこそが、今にして思えば、
英五さんから受け継いだ魂だったように
思います。
その後彼はそのまま音楽の道を行き、
憧れの河島英五さんの側で、
音楽でサポートし続ける事となります。
彼との付き合いが途切れたのは、
20年程前に僕が人生の舵を大きく切った事によります。
ふるさと石垣島へのいきなりの帰省。
勿論そこには若き日の僕なりの苦い挫折と葛藤があったこと。
その後、お互いの消息は時折の
風の噂程度にしか知り得ないまま、
心のどこかにはいつも引っかかりながも
歳月は流れました。
いつか彼とはまた出会えるはずと、
そしてもう一度音楽をやる時が来ると、
マスターは信じていましたが、
それは還暦を過ぎてからかなぁ、
なんて呑気に夢見てましたが、
昨年の7月15日に、
その日は突然訪れました。
エマの扉を押し開けて
突然現れた彼は、
なんとギターを背負ってやって来たのでした。
「おー、谷君やん」。
その瞬間はお互いかなり緊張感が
走ったようにも思いますが、
開口一番に彼が申し訳無さそうに口走った言葉は、
「ごめんなぁ」。
返すマスターは、
「何言うてるねん、こっちこそごめんや」。
なんだかそれだけで
二人元の気恥ずかしい高校男子に戻ったような
ピュアな気持ちになりました。
人生皆悲喜交々ですが、
生きていればいい事が必ず巡るものです。
今、彼は素敵な奥様と可愛いいお子さん二人を連れて
度々エマにやってきては、
マスターと一緒に音楽を楽しんでいます。
そんな彼、谷和彦と
明日は河島英五トリビュートライブ、
「酒と泪と英五と仲間達」
いよいよ本番です。
ライブは、夕方5時からですが
会場の西小路自治会館では
お昼の2時から若狭の野菜や特産品の
販売ブースを設けています。
皆様お気軽にお立ち寄り下さい。
人生はこれからも続く。
※動画は、昨年7月15日に谷君が
エマに訪れた時の
彼との久しぶりのセッションです。
英五さんの「生きてりゃいいさ」。