笑間通信5月号(創刊95号) 表記事
「珈琲の香り」と言う時、
通常は三段階の香りがあります。
第一段階は、
焙煎された珈琲豆を粉に挽く時に生ずる香り。
第二段階は、
ドリップされた珈琲(液体)から立ち昇る香り。
第三段階は、
カップに満たされた珈琲を口に含んだ時に
鼻腔にせり上がってくる香り。
専門的な言葉を使えば(珈琲鑑定士さんなどが用いる)、
それぞれの段階の香りのことを
第一段階→「フレグランス(fragrance)」
第二段階→「アロマ(aroma)」
第三段階→「フレーバー(flavor)」
と使い分けて用います。
上は、あくまでもコンシューマーに向けた
珈琲の香りのお話し。
一方で、プロフェッショナルの立場に立つと
更に違った香りが楽しめます。
先ずは、生豆の香り。
勿論、珈琲の香りはしませんが、
それぞれの産地特有の土臭さ、所謂、
テロワールを感じさせて面白みがあります。
次に焙煎の最中の香り。
これは、時間の経過と共にどんどん変化する香りです。
煙突から世間様に巻き散らかされる香りでもありますが、
今のところ、
いい香りさせてたねとは言われても、
苦情が出た事はありません^^;
焙煎後、豆をザルにあけて一晩置いておくのですが、
翌朝、店のドアを開けた瞬間の得も言われぬ至福の香りは、
珈琲屋の冥利です。
さて、実はマスターが特別に気に入っている香りが
もう一つあります。
それは、ドリップをしている真っ最中の香りです。
この香りもまた、豆の種類や焙煎度合や淹れ方に応じて
異なる香りを放ちます。
中でも、アイスコーヒーを作る時の香りは格別です。
エマでは、深煎りの豆を細挽きにして、フランネルで
じっくり点滴抽出するのですが、
それはそれは甘く香ばしい香りが鼻をくすぐります。
珈琲特有のカラメル臭が漂います。
人間の持つ五感の中でも、この嗅覚という感覚は
最も原初の感性なのだそうです。
なんでも、原初の脳(辺縁系)に直結しているとか。
それは、太古の昔、動物の生存競争において、
快・不快、安全・危険を即断するのに匂いを嗅ぐ
という行為が不可欠だったことに由来しています。
更に興味深い事には、この大脳辺縁系には
私たちの情動や感情、記憶を司る中枢(扁桃体や海馬)も位置しています。
ですから、香りが人の感情に強い影響を及ぼすのは
至極もっともな話。
脳に直接響く感性、それが香りなのです。
珈琲の香りには強いリラックス効果があります。
更に近年の研究で、
珈琲の香りが脳の情報処理能力を高める事も分かりました。
「リラックスして、頭もスッキリ!」。
ですから、珈琲は人の感情を和らげ
世の中を優しくすることに一役買っているのですね。
また、認知症の予防にも役立っていると言えます。
その効果を最大限に引き出す為にも、
どうぞ皆様、
品質の良い珈琲をお選び下さい。
自家焙煎の小さな喫茶店にお越し下さい。
そうだ、笑間さん、行こう(^o^)/