10月エマ通信
10月21日(金)
今月のエマ通信をお手に取っておられない方の為に
マスターの巻頭言を掲載いたします。
≪生きる意味を考える フランクル博士からのメッセージ≫
20世紀の世界的名著「夜と霧」で有名な精神科医であり、
心理学者でもあるヴィクトールフランクル博士(1905ー1997)の
分析によると、「人間の根本意志は、意味への意志である」とのこと。
人は心の本質において、常に意味のある人生、価値ある人生をおくりたいと
願い求めている存在であると。―御意。
博士は続けて、では「人生の価値とは何ぞや」という問いに対して、
それには三つの領域があると述べています。
一つ目は「創造の価値」。
二つ目が「体験の価値」。
三つ目が「態度の価値」なのだそうです。
創造の価値とは文字通り、物を作りだす喜びの事です。
心に湧き上がる思いを具象化する作業には、生みの苦しみも伴いますが、
完成した暁には、無上の喜びが私の心を満たします。
体験の価値も文字通り、自然美との邂逅や芸術鑑賞、心楽しき人々との交流等、
日々かかわる出来事に価値を見いだす努力です。
態度の価値とは、たとえ創造や体験の価値を奪われたとしても、
私の魂は決して奪うことは出来ないという、私の心の自由性とでもいうのでしょうか。
例えば、病に伏して寝たきりになったとしても、見舞いに訪れた友に対して、
笑顔を絶やさず、心配をかけまいと態度をもってねぎらう、どんなネガティブな状況下でも
ポジティブな態度を失わない気高き精神性に見い出す価値です。
それらの価値観を基本に人生を歩む努力をする時、人生の問いへのコペルニクス的
転換が訪れると博士は説きます。
すなわち、「生きる意味は探すものではなく、私の人生が問いかけてくるものなのです」と。
フランクル博士のことを調べていてマスターが感じることは「正に今」、
「正にここ」に在る「私」とは、この宇宙の場で、絶対的領域を占める、
かけがえのない存在であるという、人間一人一人が持つ絶対的価値性への気付きです。
そしてその価値性は、物心がつく前にすでに人生の方から私に
付与されているものなんだという確信です。
ですから、私が人生に期待するのではなく、
人生の方から期待されている私であることをかみ締めて、
味わい深い人生を歩みたいものです。